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月に一回発行される園内便り「創造の森」に掲載されている園長 木村 仁の父母に向けてのメッセージです
2013年度9月号
『2013年度教師研修会・夏』
「園長の女性観とその実践」Ⅲ
(女性が命を生む責任の重さに寄添う)
園長 木村 仁
Ⅰ 母親が乳幼児を理解する苦悩と責任の重さ
乳幼児(人間理解の基礎)の神秘と不思議を考察するのは、とっても大変ことです。乳幼児と関わることは、幼児理解が基礎となるのですから、理解しようとする思いが、母親としての役割を鮮明にするのです。
・「乳幼児は、地球上の生き物の中で、一番神に近い存在です」
乳幼児は、すべてを受容して生きる特別な世界の存在です。大人の世界とは、まったく違う存在 です。
・乳幼児理解のおさらい。
①快・不快をそのまま受容する存在。大人には、絶対ありえない(考えられない)世界。
②許す、許さないという感覚がない存在。固定観念もない存在。神に近い存在の理由。
③目を見て、その人の誠意の度合いを感じ取る超能力を持っている。生後6ヶ月頃まで。 「子ども は、大人から敬意をはらわれている度合いに応じて、自分の人格を意識する・・」 ポール・トゥルニ エ氏の言葉。
④素直に表現することで、自分の言動を見つめる能力を持っている存在。相手を心の鏡として、自 分の言動を見つめる能力を持っている。
⑤命の誕生(生命の起源)の神秘と不思議を感じさせてくれる乳幼児が人間理解の基礎となるので す。
*妊娠しているお母さんが今年1月から、現在までに出産した人は、10人になりました。これから、1月までに生まれる人は、三人です。園長として45年間、毎日母親と乳幼児に親しく関わりをもたせて頂いているので、乳幼児は、神秘と不思議に満ちている存在であることを、日々新しい発見をさせてもらえています。感謝しています。
その『超能力の乳幼児』と関わる母親は、超大変な日々なのですよね。母親だけに負担をかけさせられない。どうにかしなければという思いが日々強くなっています。
神に一番近い存在である乳幼児に関わる母親は、『女神』でなければならないのでしょうね。人間の女神は、「自由の女神」のような表情がいつも同じの銅像ではないよね。
母親としての女神は、喜怒哀楽を持ったお母さんであっていいんだよね。人間味のある母親の方が、乳幼児は安心するでしょうね。
Ⅱ 乳幼児の命(愛着と心の形成の基礎)と関わる母親の責任の重さを考察
①24時間営業。賃金の代償は、無償。お金で換算できない世界で生きている母。 トモエの日々の 生活を創造することも、お金で換算できない世界です。
②母親は、生涯母親をしていく存在。子孫にまで影響を与え続ける存在である母親。 妊娠の時期 から子どもに大きな影響を与え続けて生きているのが母親です。配慮や優しさなど、心の交流の 心地よさは、永遠に受け継がれるものなのです。家族の歴史を顧みると分かるものです。
③乳幼児が命の尊厳を感じ取る愛着行為の責任の重さは、地球より重いのです。 乳幼児を理解す るためには、母親の存在を理解することが不可欠なのです。
Ⅲ 母も乳幼児期を過ごして母となった。その意味の重さを理解することが不可欠なこと
子を産み母となったことで、自分の乳幼児期を鮮明に思い出す母親の宿命。
自分の乳幼児期の愛され方を具体的に思い出す母親。
愛着が薄かったことで悩む母親。
愛されたようにしか愛せない母親の宿命。
ここから何を感じとれますか。個性や気質等が、乳幼児期の環境にあることが分かるのです。男性には、理解しがたいことかもしれない。「理解しよう」とする配慮が必要ですね。
園長が実践していること。
*愛着の薄さ、愛されないで育った苦悩を背負い込む母親たちを理解する
*「愛着の意味を基礎」から学ぶことの責任の重要さ。
*母親が自分自身の苦悩を自分で解決するために、どのように寄添えるのかの具体的な行動。
・園長の母親理解の定義(ポイントのみ)
①母親自身の個性や気質は、親の精神衛生から受け継がれている。
②母親自身の個性や気質は、母親だけの責任ではない。様々な環境によって創られたもであっ て、大人たちの責任である。
③何代も先から受け継がれている精神的環境を理解する重要性。家族関係学の考察
④生理学、精神医学的考察の必要性。男女の違いを理解。
⑤女性としての認識を高め、確認しつつ誇りを持って生きることができる生活環境の創造をするこ と。実践中・・・。
⑥園長の乳幼児理解、母親理解は生涯続くこと。引退する時は、人生を引退する時でしょうね。
Ⅳ 園長自身、乳幼児・人間理解のために、自分の人間が持っている本来の勘を日々養う方法。
①目が見えない人は、耳の発達が高められると言われている。盲目の音楽家から学ぶ。
具体的な訓練=・眼をつぶって歩く。盲人のドキュメンタリー映画やドラマを見る。
『物は見えても、自分の心が見えない心の盲人が増えている現状』
・眼をつぶって自然の中の音を聞く。
②野生動物から、『人間本来の勘とは何か』を学ぶ。
20歳前後に、闇夜の自然の中にある獣道を何度も歩いた経験から野生動物の 勘とは何かを、常に学ぶことで自分の勘が研ぎ澄まされる。
大自然の中で10年生活してきたが、野生の熊とは遭遇なし。熊肉は、試食あり。 具体的な訓練=・野生動物の記録映画や飼育の記録映画をよく見ることにいている。
・動物学者の著書を読む。
・動物学者に直接会って話を聞く。日本で始めてパンダを育てた経験者の苦悩話 を聞きに東京上野動物園まで行く。当時の上野動物園長中川志郎氏と話す。ト モエ園舎落成記念講演を無料でして下さった。その時の写真が2階に張ってあ る。昨年逝去された。
③自然の中で生活をする記録映画や家族映画を好んでみる。
・自然の中で生活することで、人間の本能が養われるのを確認するために見る。 「映画・アドベンチャーファミリー」など・・・ ・南米やアフリカなどの原住民の生活 や人間関係などを見て勘を学ぶ。
・19世紀の生活を今に生きる、アーミッシュの農業や生活、人間の本来の心を大 切にする生き方から学ぶ。38歳の時に、共同体研究で米国に研修に行った時 に、数時間滞在して話を聞く機会があった。 「本来の土の美しさ」を見て涙が出 てくるほどの感動を経験した。 私自身、土壌のもつ素晴らしさを体験している。 土壌学も学ぶチャンスが持てた。作物を健康に育てる意味についても学び体 験した。
④乳児と母親と親しく関わることで、人間の本来持っている“すごい感性”を感じさせてもらえる。
・母親と一緒にいる乳児は、安定した姿を見せてくれる。
・誠意を持って関わることで、鋭意の度合いを感じて反応してくれる存在。
・45年間、母子と親しく関わり、基礎的で総合的な人間理解について体験的に学 ぶことができた。
*人間は、人間理解のための人生が生涯続く・・・。
*自分が歩んだ人生の足跡は、肉体が無くなった後も、何十年も(何百年かも)影響を与え続ける。 私の母は、今でも私の中に生き続けています。父は、時々感じています。
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