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月に一回発行される園内便り「創造の森」に掲載されている園長 木村 仁の父母に向けてのメッセージです
2014年度11月号
人間関係がもたらす、幸せの深い関係を探る
・基礎的人間探究の必然性。人間教育の原点は、ここにあり
・女性と基礎的な幸せ(平和的生活)の創造(実践的探究)
・人間関係の基礎の構築は母親にあり(胎児期と乳幼児期)
・考察のために
1)胎児期・乳幼児期から見た人間関係
2)心地よい人間関係が創造される基礎は、胎児期から
3)母子関係がもたらす、基礎的幸せな生活
4)人との心地よい関係が、人を幸せにする
5)自己理解から始まる人間理解。人間理解は、永遠に続くもの
6)人間理解の理解度によって、心地よい心の交流がもたらされる
7)女性が人を幸せにする女神・母なる大地・母なる大河・母港
基礎的な尊厳とは何かを考察
〈序〉人間の理解(探求)は、宇宙を理解しようとするような神秘に満ちています。
人間の神秘、不思議を探求して60年になります。人間が神秘すぎて分からないことだらけで、苦悩しつつ現在に至っています。しかし、日々新しい発見の連続でもあるので、楽しくもあります。
基礎的な人間理解の探求は、「人間の命の誕生と母親との深い関係」から始まるのです。命の誕生のドラマは、母のお腹の中から始まります。大きなお腹をしている母親を見ると、母親の一人の命に対する深い思いを感じます。赤ちゃんは、子宮の中で丸くなって育つ。その子宮の働きを学んで、計り知れない神秘を感じざるを得ません。調べてみてください。一回きりの命を守る臓器なのです。神秘の世界です。
私は、誕生した『その赤ちゃん』と関わり、『宇宙のような球体的存在』の驚異を知ることになったのです。
赤ちゃんは、球体のようにあらゆる角度から感じ取って生きていることを知りました。6か月ぐらいまでは、100パーセント受けるのみで生きているのです。乳児は、球体そのものです。乳児を平面的に知ろうとしても、理解できないことを知ったのです。大人は、みな胎児期・乳幼児期を経験して生きてきたはずなのに、違う次元を理解するのに苦労しています。
私は、少年のような心で、「どうして?なぜ?」の質問を自分に問いかけ続けてきました。「この問い」に答えるには、とても辛抱強く辛い日々の連続です。
「太陽や地球・月も、なぜ丸いの?」
「太陽、地球は、なぜ燃え尽きないの?」
「地球の中心にあるマグマはなぜ燃え尽きないの?化石燃料や地下水を大量に汲み上げても、なぜ地球は変形しないのだろうか?」と言うような質問と同じように「人間理解」を感じました。
人間自身が「近代文明の豊かさにおぼれて、心の砂漠化」を感じるのは、私だけだろうか。私は、14歳ごろに観た映画、チャップリンの「モダン・タイムス」の影響を受けているようです。私にとっての人生の教科書は、『映画』でした。映画は、様々な人間模様を学べたのです。15歳ごろから考え始めていました。「自分も人間も何かおかしいぞ。人間について、自分自身について知ろうとしていないで生きているではないか。だから生きる意味もわからないで生きている」。昭和30年代初めのころでした。
人生に疑問を抱くよりも、まず自分自身に疑問を抱き始めていました。大人になろうとしている自分は、人間を平面的に知ろうとしていたようです。十数年後には、平面的な物差しでは赤ちゃん(人間も)は、測れないし理解ができないことを知ることになりました。
1)胎児期・乳幼児期から見た人間関係
A)人間の基礎的な理解は、赤ちゃんから
赤ちゃんは、胎児期から生きる能力を日々養われています。
すべての五感を通して球体のように感じる能力を持っているようです。
46年前から乳幼児を母親とともに観察させていただきましたが、現在でも新しい発見があり驚異です。
赤ちゃんと深く関わる中で発見し続けているのは、目の持つ能力の驚異でした。大人が考えても考えられないような世界でした。
赤ちゃんは、相手が自分をどのような人間として見ているのかを感じています。だから、しばらく人の目を見続けます。大人は、何分も赤ちゃんの目を見続けられますか。
私は、50代では、赤ちゃんの目が純粋すぎて直視できなかったのです。恥ずかしさを感じていました。
「赤ちゃんは、なぜ直視して何分も目を見続けるのだろうか?」という質問が生まれたことで、答えが生まれてきたのです。
・赤ちゃんは、言葉で会話ができないから、目や耳など五感で相手を理解しようとしている。
・赤ちゃんは、何もわからない存在ではないことを知ることになります。
・赤ちゃんは、大人以上に物事を判断する能力を持っている。
・ある文献では、乳児は、神と同等においています。
・大人のあるがままを、すべて受け入れて生きている存在が乳児です。
だから、神と同等なのかもしれませんね。
・スイスの精神医学者のポール・トゥルニエ博士は言う。
『子どもは、大人から敬意を払われる度合いに応じて自分の人格を意識し、自分の人間としての尊厳を自覚して自分自身を尊重するようになります。のちに、大人になってからの道徳的態度全体に影響を与えることになります』
乳児は、大人が自分自身をどのような人間として見ているのかを感じているのです。「大人が見ているその眼の尊重の度合い」を感じている乳児。驚異です。
「自分が尊重される人間であるのかないのか」を、感じているのです。
「人間としての尊厳の基盤が日々積み重ねられている」のです。
「自己尊重、そして日々自己肯定観が創られている」ということになります。
「その人の道徳的態度全体に影響」を与えることになるのです。
30歳で幼稚園の園長となり46年間、乳幼児と母親の関係を観察探求、実践させていただき、感謝の極みです。
『母親は、胎児期と乳幼児期の子どもに対する影響の大きさ(計り知れない世界)に驚嘆』し母親を支えることの重大さを感じたのです。
良い意味でも悪い意味でも、胎児期から乳幼児期に大人が与える大きな影響は、子孫に伝達されてしまっているのです。現代社会の大人が何を感じて乳幼児にかかわっているのかを思うと、震えを覚えます。
私は、スタッフによく言ってきたこと、自分にも毎日言い聞かせていることは、
・乳幼児は、人間の中で一番感性が研ぎ澄まされていて純粋な存在です。
ですから、心を込めて関わろうよ。
・大人とは、全く違う存在です。乳幼児を理解するのは、生涯かけても理解しつくせません。乳幼児を侮るなかれ!神と同じ存在。
・自分たちの思いを、あるがままに受け入れてくれるのが乳幼児です。
努力しつつ、自分に素直になり乳幼児と毎日お付き合い願おうよ。
自分が素直になれるのは、乳幼児と関わることで生まれるのです。
・乳児は、『人間の中で最高の存在』である。
神と同じ存在である乳児は、あるがままを受け入れる存在。
自分の心を映し出す鏡のようです。乳児の目に自分の心が映るのです。
自分の誠意の度合いも乳児の目に映って見えるのですから驚異です。
・乳児は、自分を人間として素直に育ててくださる神のような存在です。
・乳幼児と関わらせていただくことで、人間関係の原点を感じます。
*人間と心が通い合う喜びの歓喜を感じるのが乳幼児です。
スタッフや 親を見ていて感じます。子を思う母の思いの違いも感じています。幸せの極みです。
* 乳幼児は球体。園長自身の体験的な説です。
大人は、乳幼児と関わるときには、球体を測ることができる柔らかくて伸びたり縮んだりするメジャーを持ちたいものです。
・球体とは、感じる部分が最大限にあるということです。
・球体から学ぶことは永遠であるということです。
・宇宙以上の存在が人間であることを自覚し,人間の尊厳を探求できる。
*安定した人間形成の3原則(三角形)
乳幼児を観察した結果の園長の体験的説。
1、球体で『感じたことは』、幅が広く、深いのです。
乳幼児期の感じる体験が「直観の基礎」となります。
2、多くを感じた球体から、『広く深く思考の芽が出ます。力となります』。
3、思考の芽は、多くを感じたことを基礎に、『生きた言動として表現』されます。
このような人は、自分を理解しようとしているので、人に寄り添うこともできる人になるのです。
これらの3原則が創られることで、安定した人間生活が生まれるのです。
*胎児と乳幼児、その家族と共に少しでも楽しい穏やかな人間関係が持てる生活を創造しようとしているのが、『トモエ』・創造家族なのです。
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