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2013年度5月号
「園長の乳幼児観とその実践」
乳幼児期は、人間の中で一番感性が研ぎ澄まされた時期。
人生の最も重要な時。
乳幼児期の子どもと母親たちを軽視している社会の危機。
愛着障害(母子関係障害)が家族を崩壊させている時代に思う。
園長 木村 仁
 
 「乳幼児の命は、大人には計り知れないエネルギーを持っている存在」です。ゆえに、私は、乳幼児に尊厳を持って関わらせてもらっています。
 
 人間の命は、男女の信頼から始まり、子宮の中で神秘のドラマから繰り広げられるのです。卵子と精子の結合から人間としての壮大な命の誕生ドラマが開始されるのです。その命の誕生の成長過程を見ると不思議であり、神秘に満ちているのです。そのドラマが、一人の女性のお腹の中で10ヶ月間繰り広げられるのです。女性にしか体験できないことなのですから、女性は命を育める喜びを、自分とお腹の命に対して尊厳を持ち生きてほしいものです。男性は、自分の命を生んでくれた母親、女性を尊厳して生きることで、自分に尊厳をもった人生を過ごせると思います。自己肯定観の基礎となるのが、自己存在の命の誕生と神秘と不思議を自分のものにすることです。園長は、自分自身に言い聞かせながらトモエで実践してきたことなのです。今までのことは、自分自身の実体験から話しています。これらのことは、夏・冬の教師の研修でも学んできました。母子関係から人間観察研究の原点としています。「命の誕生と男女の愛」についての資料は、いっぱいありますので、親子で見て命の神秘と不思議を自分のものにしてみてください。人生は大きく変わるはずです。自分の人生の原則・法則が「ここにある」からです。
 
 
 「1歳ごろまでの乳児と関わって人間の神秘・可能性の素晴らしさを教えられた園長」 3年前から毎年8人前後の赤ちゃんが誕生しています。園長のデスクの前には2台のベビーサークルが置いてあります。赤ちゃん観察研究のために置いてもらっているのです。
 
 胎児・乳児の観察研究は、人間探求の原則なのです。人間教育の基礎なのです。そして、乳児は日々変化に富み、観察は楽しくて意義あるものなのですから、もう辞められなくなっています。
 
 生まれてきた赤ちゃんは、肌を通じて心地よさ、悪さを感じとる能力があるのです。早稲田大学人間科学科研究グループによる、「赤ちゃんの脳は肌にある」という研究をまとめた資料が本になっています。赤ちゃんは、肌の心地よさで安定した心をもてるのです。
 
 創造の森4月号で話したように、乳児は、人の目から、その人の誠意の度合いを感じる能力を持っているようです。人の心を観察する感覚能力の素晴らしさは、大人の思考能力を超えたものを感じます。5年前ごろから乳児の発達の速さを確信するようになった私がいました。創造の森4月号事例に取り上げた、フランス人、ドルト女史の発言を書きました。「9歳ないし11歳までの子どもは、自由を尊重して教育すれば自発的に自分の進む道を見つけ出すことができる」と、ありました。
 
 私の説明を加えると、「乳幼児から9歳ないし11歳ごろまでに、大人は自由と尊厳を持って子どもと関わっているなら、自己肯定観を持ち自発的に学ぶ喜びをみにつけて、自分の人生を歩み続ける人間になるのです」と、いたいですね。
 
 卒園生が20歳ごろになると、親は発見するようです。
 
 「人生を主体的に自発的にしっかりとした歩みをしている。自分の若い時と比べ物にならない」
 
 「家族、夫婦・親子関係をしっかりと創っている。このように育ったのは、トモエのおかげです。14年もしなければトモエの良さが分からないなんて情けない親だよ」
と、こんな声も聞こえてきました。
 
 卒園生が言った言葉です。
 
 「人生って、本当に楽しいものですね」
 
 その卒園生は、卒園の3ヶ月前の1月に入園してきた子です。小学校は少し通っただけです。中学校も少し通っただけでした。通信教育の高校を自分で見つけ学び卒業し、現在は専門学校に通っているのです。実習先では人気者なようですよ。音楽を楽しみ、おおくの人の前でも何年も続けて演奏しています。多くの人に愛されている人って、幸せを感じ取って生きているのですね。園長は、15年見守り続けてきて、幸せを共感できます。
 
 卒園生は、空気を読み環境に合わせ、自分を状況に合わせている。しかし自分を持って人と関わっている。配慮は、疲れるものです。しかし、その配慮できる能力が“優しさ”ですよね。
 
 乳幼児期からの自由は、乳幼児自身の自己表現が、人を鏡にして自分を映し出されて自分を見つめているのです。どんな表現が良かったか悪かったかを判断する能力を持っています。親だけでなく多くの人に出会うことで、その人によって表現したことの良し悪しの違いを知り、幅広く球体的に感じる能力を養っているのです。大人では理解できないくらい、あらゆる方向から波長を出して、人間をあるがまま受け入れる能力を持っています。
 
 乳幼児が、あるがままを受け入れる能力のあることを知った大人たちには、「しつけや教育」ということで、教え込もうとしてしまう強制の危険が伴います。大人や親が陥りやすい落し穴なのです。子どもは、大人の前ではただ従うけれども、大人の見ていないところでストレスを発散させて多くの人に迷惑や、いやな思いをさせる人になるのです。
 
 一方では、「強制はしたくない。私が強制される苦痛を小さい時から受けてきたから」と強制しない関わり方をする人もいます。自由を間違えてしまう親の例ですが、子どもの言いなりに従ってしまうことが多い親です。子どもは、親の気持ちを表現してもらえないと、反応のない関係にイライラするのです。会話をしていて返事のない関係のようなもので、ある意味では、自分が無視されているように、感じてしまうのです。夫婦でも対人関係でもこのような経験をしたことがあると思います。
 
 人間は、生まれた時から対人関係を持って生きているのですから、お互いに心地よい関係を創造することで幸せな人生が生まれるのです。
 
 心地よい関係とは、お互いの立場や年齢、健康の良し悪し、精神的な良し悪し、親しさの程度などを“配慮”し“自己調整”しながら対話をすることでしょう。片方だけが主張することは、相手方が我慢することになります。我慢が長引くと、その人は悲しい日々を送ることになるのです。このような事例は、親子関係や教師と生徒、上司と部下などの力関係から生じるのです。この反対の事例もあります。あまり口うるさくない大人に対して、甘えてしまい配慮に欠けてしまう人は、自分の言動を照査することが少ないからです。
 
 園長がお母さんたちから相談を受けて話す「心地よい親子関係・夫婦関係」の原則的で基礎となることは、こうです。
 
 一人の人間として、素直に誠意を持って話す努力をする。「素直な誠意とは」、乳幼児であれ“対等な一人の人間”として対話しようと努力をすること。いやな表現をされたら(言われたら)“いやだなあ”と。うれしかったら“うれしいなあ”。悲しければ・・・。イライラしたら怒ってしまうかも、人間だもの怒ることもあるよ。と園長はあるがままを受け止めます。怒ってしまって、いやであれば“怒ってしまいごめんね”と素直に言うことです。怒った理由を相手のせいにすると、自分の問題を何でも相手のせいにしてしまい、いやな自分と日々付き合うことになり悲しいですよ。人に迷惑をかける人間に親子でなってしまう可能性もあるのです。
 
 素直に表現することで、子どもと夫と素直になれる喜びを“共有”することになるのです。あるお母さんは、「自分だけ素直に表現すると、子どもや夫は、わがままを言うんじゃないの」と言います。素直に表現を続けていると、素直になれない自分と出会い悲しむのが人間です。自分に素直になれると、新しく変化成長できる自分と出会えて幸せになれるのですよ。
 
 自分に素直になれるということは、素直に自分と向き合うことになるのです。自分をごまかすことが少なくなります。自分を欺くことも減ります。ここまでの主張は、園長が15歳から求め続けている人間観、人生観、幸せの創造観の原則・基礎です。
 
 
 “乳児は、あるがままを受け入れて生きる人間です。その乳児と親しく長い時間関わる母親は、素直で誠意ある乳児から、人間の素晴らしさ、神秘と不思議を発見できる存在です”
 
 園長は、いつも思います。“母親がうらやましい”人間の命の誕生をお腹で感じ、出産してその胸で命の神秘を抱けるのだから・・・。
 
 いつも母親は、乳児と共に過ごす大変さと重要性も感じています。
 
 
 乳児から素直で敬意・尊厳を肌で感じ取れる存在は、母親なのです。
 
 “乳児から、ほんものの素直さを肌で感じて、人間の世界に贈り続けられるのは、母親自身なのです”。
 
 乳幼児と母親に対して、“素直に敬意と尊厳”を創造する社会にならなければ人類を救う原則が崩壊するでしょう。崩壊しつつあるといえます。
 
 『女性がどんな存在なのか』
 『乳児がどのような存在なのか』
 『命とは何か』
 
を日々考察する習慣をつけなければならない時代が来ています。
 
 みなさんは、どうのように感じますか。園長は、今まで言ってきたことは、実践し続けます。一緒に歩んでくださり感謝しています。今後も一緒に歩んでくださるようにお願いいたします。
 
 乳幼児から、ほんとうの素直さと、人間の神秘と不思議を学び続ける園長でありたいと望んで日々を歩みます。よ・ろ・し・く!
 
 
 ・幸せな日々を過ごすために人生で最も幸せを感じることは、人と心地よい交流を一つでも多く持てることでしょう。
 
 心が通じ合える関係を持てることです。信頼関係が深まることです。元気がでる源です。
 
 自分を好きになり、多くの人を好きになり、多くの人に好きになられることが、幸せの法則でしょう。子どもに好かれると、目が変わって素直になれる人を多く見てきました。
 
 園長は、幸せの実現のために、目に見えないことを最も大切に実践してきました。 これからも・・
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